3日間を山中で過ごした2歳児、無事に退院し自宅での朝を迎えられたことを心からお喜び申し上げます。本当に良かったです!
わずか2歳のこの子を救ったのは、スーパーボランティア尾畠さんの経験によるものが大きかったのはもちろんですが、生きるために大切な栄養、脂肪→ケトン体代謝だったと私は思います。しかし、ブドウ糖が脳の唯一の栄養だという方には理解不能でしょう。
「様々な幸運が重なった、まれな事例だと思う」。子どもの事故に詳しい大川こども&内科クリニック(東京)の大川洋二院長はこう話す。
「幸運」とは、大きく分けて二つあるという。
(1) 猛暑の中で気温が上がりにくい場所にいたと考えられること
発見時、男児は曽祖父宅から約560メートル北東にある山中の沢で石に座っていたという。大川院長は「沢の近くで比較的涼しく、木陰で休憩できていた可能性が高く、生存につながったのではないか」と推察する。
(2) 男児が体力を温存できる環境、状態にあったとみられること
男児は入院した直後のコンピューター断層撮影(CT)検査で、胃に内容物がほとんど見られず、3日間はほとんど食べ物を口にしなかったと推測されている。大川院長は「水分は沢の水などを飲んで取った可能性があり、カロリーは体内に蓄えていた脂肪を消費してまかなったのでは」と語る。
大川院長によると、平均的な体重の2歳児(12キロ)の場合、1日に水分約1リットル、約900キロカロリーがいる。
水分は毎日取ることが必要だが、カロリーは体脂肪1グラムにつき約7キロカロリー分を置き換えられるという。そこで、発見されるまでの68時間で必要だった脂肪量を約300~500グラムと試算。2歳児の平均的な体脂肪率を考えると、男児は体内の約4割の脂肪を消費したと考えられる。
大川院長は「男児が動き回らなかったことを想定した数字。もし体力を消耗していたら、極限に近かった可能性がある」と話す。
https://www.asahi.com/articles/ASL8K5GBYL8KUTFL00G.html