【I型糖尿病の妊婦さんが、どんなに優秀なセンサーやインスリンポンプを使っても血糖値を管理できない理由は、糖質を管理していないからです】
宗田哲男です。『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』のご著者・夏井睦先生がご自身のHPで『糖尿病学会誌2015年11月号』の論文をご紹介。猛烈批判をなさっていました。
「宗田Dr(=宗田哲男先生)がめでたく11月に出版(=『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』)されましたが、
同じ月の糖尿病学会誌にはクズ論文が掲載された」と。
http://www.wound-treatment.jp/new.htm#1215-06:00-2
その論文に書かれていたのは、
●4歳でI型糖尿病を発症した女性が妊娠。
●妊娠後も「カロリー制限」「インシュリン注射」の従来の糖尿病治療を継続。
●ところが、妊婦はどんどん太り、血糖値管理もうまくいかないので、教育的入院。
●しかし、退院すると、やはり血糖値管理がうまくいかない。
●妊娠38 週1日に帝王切開で3850 g の巨大女児を娩出。
●新生児低血糖を認めたが奇形は認めなかった。
●わが国では妊娠初期にSAP へ切り替え,分娩後まで血糖管理を行った、1 型糖尿病合併妊娠例の報告は無く,妊婦が激太りしてしまうのは問題だという報告。
※SAPとは
「SAP」(Sensor Augmented Pump)は、インスリンポンプに「パーソナルCGM」(Continuous Glucose Monitoring)機能を搭載したシステム。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2015/023718.php
つまり、この論文に書かれている内容は、
一言でいうと「従来の糖尿病治療を厳密にしても、妊婦は激太りし、血糖値はコントロールできず、巨大児を帝王切開で産むことになる」ということ。
宗田マタニティクリニックでは、I型糖尿病の妊婦さんが、糖質制限で、インシュリン注射から離脱し、無事ご出産なさっている方がたくさんいらっしゃいます。
この論文に書かれている、4歳から今まで「糖尿病学会」の管理でいた方は、
宗田マタニティクリニックで血糖値を管理した妊婦さんのようにはいかないけれども。
それでも、糖質量を管理していたら
●インスリンを減らせるし、
●体重増加も防げるし、
●胎児の巨大化も防げると思いますし、
●帝王切開ではなく経腟分娩で、
●新生児の低血糖も防げます。
この症例こそは、「今の一般的な糖尿病治療のやり方では、結局は敗北しかない」という意味で、素晴らしい論文です。
宗田マタニティクリニック 宗田哲男