「最近読んだ本の中では一等にスリリングで面白い本。
“胎児のエネルギー源はケトン体である”という宗田哲男医師の説。
いずれこの仮説が真実かどうかは証明されると思います」
とスカラベさん。Amazonレビューありがとうございます!
感謝の気持ちでいっぱいです!
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【ヒトのからだの不思議さ】
私たちはヒトのからだについて知っていることはほんの氷山の一角だけなんだなあと読後思いました。
私は医学については素人なので、当書に書かれていることが医学的に正しいかどうか判断できません。
そこは専門家の方の評価を待ちたいと思います。
従って私のこのレビューは
⚫️読んで内容が面白かったか?
⚫️なにかわくわくするような新しい知見があったか?
という観点からのみのレビューとなります。
私は「ケトン体=認知症予防に役立つもの」というくらいの素朴なイメージしかなかったので、当書のタイトル「ケトン体が人類を救う」を見たとき、認知症に関する本だと思って読み始めました。
ところが内容は大違い。
著者は産婦人科の開業医で、母体中の胎児がどう栄養を摂取するか、特に妊娠糖尿病にどう対応するかというのがメインのテーマでした。
でも内容はとても示唆に富んでいて、真摯で、医学や栄養学
だけではなく文化人類学にも渡る幅広い論考だという印象を持ちました。
この本の内容をひとことでいうと、
<宗田仮説> 胎児のエネルギー源はケトン体である。
ということにつきます。
著者は、開業医としての現場での経験や実験からこのことは
事実であると主張されていますが、現在は医学界の主流からはまだ認められていないので私はここでは宗田氏の名前をかぶせて宗田仮説と呼ぶことにします。
いずれこの仮説が真実かどうかは証明されると思います。
この仮説が事実なら、妊娠糖尿病のお母さんのからだは薬を使わず「糖質制限」で管理できることになります。
医学の詳細な知識がないだけに私にはこの仮説は実にほんとうらしく響きます。
胎児のエネルギー源はブドウ糖とケトン体と2種類あります。
ヒトが類人猿から派生したのは700万年前。
農耕が始まったのが1万年前。
とすると、
ほとんど700万年ものあいだヒトは随分と厳しい環境で胎児を母体で育てていたことになります。
現在では豊富な炭水化物をすぐに手に入れられるとはいえ、妊娠は母体にとって「非常時」ですから、セイフティネットが働いてケトン体だけでまず胎児に栄養を与えることができるようにするというのはヒトが子孫をつなぐという観点からごく自然なことに思えます。
そういえば、妊娠したときに女性はつわりを経験することがあります。
つわりの原因ははっきりわかっていません。
胎盤のもとになる絨毛組織から出るホルモンのせいだとか、母体が絨毛や胎児を異物と感じて反応してしまうためなどと諸説あります。
私はこの本を読んで、つわりは強制的に食事をとれなくして母体をブドウ糖代謝からケトン体代謝メインに移行するための準備作業をしているのではないかと妄想しました。
妊娠12週くらいで自然に治るのもうなずけます。
ともかく当書は最近読んだ本の中では一等にスリリングで面白い本でした。
このようなかたちで医学は切磋琢磨して進歩していくんだと感じました。
http://www.amazon.co.jp/ケトン体が人類を救う-糖質制限でなぜ健康になるのか-光文社新書-宗田-哲男/dp/4334038891