高雄病院理事長・江部康二先生が大変興味深いお話をされています。
「高血糖の記憶」
「すなわち、糖尿人において数年間以上血糖コントロールが不良であれば、血管の内皮に悪影響が出て、動脈硬化が生じます。
例えば、心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化により狭くなって、つまりやすい状態になり、心筋梗塞や狭心症の危険があります。
これを “高血糖の記憶” といい、“消えない借金” のように生体内の動脈硬化が、ずっと残存して続きます。
つまり、数年間の高血糖期間のあと、継続して良好な血糖コントロールが得られても、血管合併症リスクは、その動脈硬化の部分が残るということです。
過去のコントロール不良の頃の消えない動脈硬化の借金が、 “高血糖の記憶” です。
例えば、数年間HbA1c:8~9%台だったのが、スーパー糖質制限食開始で、速やかに血糖コントロール良好になり、その後はずっとHbA1c:6%台をキープしていても、当初の “高血糖の記憶” は、消えずに残っているということです」。
糖尿病がよくなったと思っていて、身体は軽いし、元気になって、思い切り動き回ったり、過労やストレスや飲酒などが重なってしまうとこの危険な記憶が、もともと悪化していた心臓の血管などに病気の本体を表してくることがあるのです。
江部先生がおっしゃるように、「現在、糖質制限食で血糖コントロール良好の糖尿人も血液・尿検査だけでなく、心臓や脳や眼底の検査(画像診断など)が必要ということです。従って循環器内科、脳外科、眼科などで合併症のチェックが肝要です」。
糖尿病の患者さんでなくなったからといって油断してはいけないですね。
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